共同総会長挨拶


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工藤 篤

東京科学大学病院 医療安全管理部
国際医療安全推進機構 理事

医療の現場で起こるさまざまな問題について、机上の空論ではなく、実際にどのような対策を立てていくかを真摯に議論する場であると考えています。医療現場では対処に困る問題が山積みですが、技術革新の影で何が問題であるか気づかないこともあります。本学会は多くの医療者が気づかない本質的な問題を指摘し、病院のシステム上の欠陥を拾い上げ、病院の経営を改善し、最終的には我が国の医療体制の改善に貢献することが重要です。この第一回学術集会では様々な「はかる」を勉強したいと考えます。第一に全国の医療施設がどのような方法で、行った医療行為の質を客観的に測定しているのか、あるいは測定する試みを行っているのか、第二にそこで得た結果を医療機関の経営にどのように利用しているのか、第三にそれらの測定結果が患者の安全や医学の進歩にどれだけ貢献する可能性を秘めているかということです。新しい医療安全管理のアイデアを勉強できればと思います。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。


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 相田 伸二

京都大学医学部附属病院 医療器材部 臨床工学技師長

 能登半島地震により、被災されました皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
 日々変化する世界情勢におきまして、安心安全な医療を持続するには、国内だけではなく海外の様々な情報においても、これまで以上に日頃から着目しておかなければならない時代となりました。日本の医療にとりましては、医師の働き方改革におけるタスク・シフト/シェア、自然災害時の災害医療など、医療安全に関わる課題は多くございます。このような医療現場の新たな環境や体制を乗り越えるためには、さらなる多職種連携が必要ではないかと考えております。記念すべき第1回日本医療安全推進学会学術総会におきましては、様々な職種や立場の方とのディスカッションの場を設け、明日への医療安全に繋げたいと考えております。垣根を越えたコミュニケーションが、さらなる医療安全文化の第一歩となるよう進めさせて頂きますので、ぜひ皆様の参加をお待ちしております。


富田隆共同総会長の写真

  富田 隆

国際医療福祉大学 三田病院 薬剤部長
医療法人財団 順和会 薬剤部長
国際医療福祉大学 薬学部 教授

「安全」とは何でしょうか?国際的には、「許容できないリスクがないこと」とされ、「安全」はリスクを経由して定義されているのが分かります。そのため、医療従事者は、医療上のリスクを把握する仕組みを構築し、対策を講じた上でも排除できないリスクについては、それらを十分に理解した上で管理しなければなりません。このような状況が継続的に行われている状態、つまり、継続してリスクと正しく向き合った状態が「安全」とも考えられます。 医療上の「安全」の目的が医療事故の防止とすれば、医療上の「安心」の目的は患者の心を安らげることと考えられます。医療従事者からのヒヤリハット報告、改善策提案等は、医療従事者個人の意思が影響しやすく、主観的となりやすいため、医療上の「安全」には客観性が必要です。一方、医療上の「安心」は患者個々の心の持ちようで度合いが異なる主観的なものです。よって、医療従事者が患者に「安心」を示すためには、医療従事者個人の主観的なものではない、医療上の客観的な「安全」をベースとした、患者に説得力をもたせられる論理性が必要です。 医療従事者にとっての主観的な「安全」を主張しても、多くの患者は納得しません。医療従事者が患者に「安心」を示すために、第1回日本医療安全推進学会学術総会を通じ、医療上の「安全」を再考し、医療安全を推進する機会になれば幸いです。本学術総会の成功にむけて、先生方のご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

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