研究指導教員からのメッセージ (先生の一部から)
四栁 宏 (東京大学医科学研究所附属病院病院長)
浅井 篤 (東北大学大学院医学系研究科医療倫理学分野)
大学では医療倫理学分野の責任者をしています。同分野では生命医療倫理学の教育、研究を主に行っています。私個人としては、研究倫理、利益相反、診療現場における倫理問題に関する検討と審査に、倫理委員会等委員長・部長または委員として携わってきました。また医療倫理学分野の活動と同時に臨床医としても一般内科外来の診療を続けてきました。医療倫理学は患者安全とオーバーラップする部分はありますが別物だと思っていますので、医療倫理的な思考や倫理的とされる態度が、患者安全の向上にどのように貢献できるのかずっと模索しています。
患者安全領域で重視されるオープン・ディスクロージャーや報告文化、ジャスト・カルチャー醸成は医療倫理学が直接関わる領域ですし、医のプロフェッショナリズムという概念も大切になると思います。共同意思決定や適切なインフォームド・コンセント取得は、患者安全とダイレクトには関わらないかも知れませんが、医療を受ける人々の納得や良好な患者医師関係確立には有効でしょう。同関係はそのものとしても大切です。
MSPO大学院では、患者安全に貢献できる可能性のある医療倫理的事項は、上記を含み、すべて研究テーマになると考えています。
河内正治 (帝京大学附属病院医療安全管理部)
帝京大学では、アジア国際感染症制御研究所の所長と国際感染症・危機管理学講座主任をしています。昨年度までは本院の安全管理部も兼任していました。私はM.D.で臨床医としての専門は麻酔科(集中治療/ペインクリニック)ですが、専門分野はそのほかに感染症学(ウイルス学)、安全管理学などがあり、現在は臨床より後者の方が主体になってしまいました。
私の昨年度のMSPO大学院の研究テーマは 1. 事故を未然に防ぐ(レジリエンス)、 2. COVID-19の医療安全分野に対する影響(その1)、3.(その2)で、現在二人のMSPO院生の指導を行っています。例えば、1.では「転倒・転落」についてSafety-2のレジリエンスを用いた研究テーマとしていますが、Safety-1のマニュアルやチェックシートなどの基本的な学習器材を正しく良いものにする、という作業は全ての安全に関わる単位(例えば「転倒・転落」など)で存在し、研究テーマとなります。また、Safety-2の切り口で解析する場合と、Safety-1を主体として考える場合では、同一の素材でも全く異なった研究が可能です。みなさんが興味を持った素材に対して、研究方法(アプローチ方法)を考え、共に学ぶことが私たち指導教官の役目です。一緒に研究しましょう。
田仲浩平 (東京工科大学臨床工学)
私は東京工科大学医療保健学部臨床工学科及び医療技術学研究科臨床検査技術専攻科の教授職として医療安全管理学及び医療機器安全管理学等を担当しております。
専門は数値流体力学で血液ンプ等の動特性及び、生体循環シミュレータの研究開発を行って参りました。
現在の専門領域は、医療機器安全管理工学です。具体的には医療機器操作に関する取扱いトラブル解析、安全対策として医療専門職のパフォーマンス低下を防ぐAR(Augmented Reality:拡張現実)システム応用した研究で、コンテンツ開発と有用性の検証を行っています。
医療安全高等教育院の研究ターゲットは、1.医療機器事故の調査と解析、また、2.医療手技、医療機器の取扱い等に関する教育(トレーニング)手法の開発と検証です。
2では、上記のARシステムを利用し学習効果と検証、作業効率、ワークフローの改善について研究を進めて行きたいと考えています。この他、2を利用した発展的な研究を希望される方はご相談ください。
以上、宜しくお願いいたします。